完全ガイド:スケーラブルなデータベースレプリケーションの設計と戦略

by 翻訳:古川えりか, Anusha MB | October 30, 2025

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データベースレプリケーションソリューションを選ぶ際に、スケーラビリティ、シンプルさ、コスト管理を天秤にかける必要はありません。本ガイドでは、データベースレプリケーションソリューションの評価方法を解説します。また、オンプレミスからクラウドまでスケールし、リアルタイムCDC を提供し、接続ベースの価格設定で予測可能なコストを実現する、ノーコードのエンタープライズグレードプラットフォームを選ぶメリットもご紹介します。

データベースレプリケーションとは?

データベースレプリケーションとは、データソースから1つ以上のターゲットへデータオブジェクトをコピーし、同期するプロセスです。すべてのターゲットがデータソースを正確に反映できるよう、一貫性を確保します。レプリケーションは継続的(ライブ)に実行することも、スケジュールに沿って実行することもでき、行レベル、トランザクションレベル、スナップショットレベルのいずれかで動作します。

レプリケーション、バックアップ、ETL の比較

プロセス

目的

レイテンシ

代表的なツール / アプローチ

バックアップ

特定時点でのデータコピーを用いた復旧とコンプライアンス対応(ポイントインタイム)

数時間~数日(スケジュール実行)

ネイティブDB バックアップユーティリティ、Veeam、Commvault

ETL

分析とレポーティングのための抽出・変換・ロード

数分~数時間(バッチ処理)

Informatica、Talend、dbt、Airbyte

レプリケーション

可用性とリアルタイム利用のための継続的な同期

数秒~数分(CDC / ライブ)

CData Sync、Fivetran、Qlik Replicate、ネイティブCDC 機能


用語の説明

  • 変更データキャプチャ(CDC:Change Data Capture)は、データベースログを読み取り、パフォーマンスに影響を与えることなく、挿入、更新、削除をキャプチャする技術です。

  • レプリケーションラグは、データソースで変更が発生してからターゲットに反映されるまでの遅延時間を指します。

  • 同期レプリケーションでは、変更がターゲットシステムに到達して初めて確認されるため、一貫性が維持されます。非同期レプリケーションでは、データソースでの変更が即座に確認されます。

主なユースケース

  • 高可用性:レプリケーションによりスタンバイシステムを準備状態に保つため、プライマリデータベースに障害が発生してもアプリケーションはオンラインのまま稼働し続けます。

  • ディザスタリカバリ:遠隔地に保存されたコピーにより、停止や予期しない障害が発生した際に迅速な復旧が可能になります。

  • 分析のオフロード:リードレプリカがレポーティングとBI クエリを処理することで、本番データベースの負荷を軽減します。

  • マルチクラウドデータ共有:オンプレミスと複数のクラウドプラットフォーム間で情報を同期し、柔軟な運用を実現します。

  • AI / ML パイプライン:ライブデータにより、機械学習モデルとAI 推論がリアルタイムで更新され、正確性を維持します。

なぜレプリケーションが必要か?メリットとビジネスへの影響

高可用性と耐障害性

同期レプリケーションは、すべてのトランザクションをソースとレプリカの両方に書き込むことで単一障害点を排除します。これにより自動フェイルオーバーが可能になり、ミッションクリティカルなシステムで「データ損失ゼロ」アーキテクチャを実現します。

パフォーマンスの向上と負荷分散

リードレプリカがレポーティングと分析を処理するため、メインデータベースは高速に動作し、更新処理に集中できます。プライマリデータベースで直接分析を実行する代わりに、リードレプリカでクエリを実行できます。

ディザスタリカバリと事業継続性

地理的に離れた拠点への非同期レプリケーションにより、障害発生時でも事業継続性を確保できます。規制業界において、厳格なRPO(目標復旧時点)とRTO(目標復旧時間)の目標を最小限の中断で達成するのに役立ちます。

リアルタイム分析とAI の実現

ライブデータフィードがリアルタイムダッシュボードを駆動し、分析を常に最新の状態に保ちます。Model Context Protocol(MCP)により、AI エージェントはライブデータを即座にクエリでき、より迅速でスマートな意思決定が可能になります。

スケール時のコスト効率

CData Sync の接続ベース価格設定では行単位の課金がないため、データ量が増えてもコストは予測可能です。大規模パイプラインでも一貫した運用コスト削減とスケーラビリティを実現します。

レプリケーションの基本アーキテクチャと手法

同期レプリケーションと非同期レプリケーション

項目

同期レプリケーション

非同期レプリケーション

定義

トランザクションがすべてのレプリカに反映されたことを確認してからコミット完了。データは常に完全同期状態

トランザクションをプライマリ側で先にコミットし、後でレプリカに反映。一定の遅延を伴う。

トレードオフ

書き込みレイテンシ増加・スループット低下

短時間の不整合や障害時のデータロスリスクあり

最適なユースケース

データロスが許されないシステムに最適(例:銀行、ヘルスケア)

分析・BI・ログ集計など若干の遅延を許容できる用途


スナップショット、マージ、トランザクションレプリケーション

  • スナップショットレプリケーションはデータセット全体を一度にコピーし、変更が少ない場合の定期的な一括ロードに最適です。

  • マージレプリケーションは、ソースとターゲットの両方でデータを更新し、その後変更を統合できるため、分散システムやオフラインシステムで時折発生する競合の処理に有用です。

  • トランザクションレプリケーションは、変更を継続的に配信するため、ミッションクリティカルなワークロードでリアルタイムの整合性を保つのに最適です。


ログベース、トリガーベース、行ベース技術の比較

ログベース

トリガーベース

クエリベース

トランザクションログを読み取り変更をキャプチャ

トリガーを使用して履歴テーブルに変更情報を記録

テーブルからSQL で変更データを抽出


ログベースのCDC が最も効率的ですが、トリガーベースクエリベースの手法も一部の環境ではまだ一般的であり、それぞれにトレードオフがあります。

項目

トリガーベース

クエリベース

長所

ログアクセスなしでも動作。組み込み機能で実装が容易

DB側の設定は不要。更新日付等の期間指定で差分抽出が可能

短所

トランザクションにオーバーヘッドを追加。挿入 / 更新を遅くする可能性

大規模テーブルでは非効率でリソース使用率が高い。レプリケーションラグが増加。削除レコードの取得不可


変更データキャプチャ(CDC)の基礎

  • キャプチャ(Capture)– CDCはデータベースログを監視し、INSERT・UPDATE・DELETE などの変更をリアルタイムで検出・記録します。

  • ルーティング(Route) – 検出された変更をパッケージ化し、データウェアハウスやクラウドDB、分析ツールなど適切な宛先へ送信します。

  • 適用(Apply)– 宛先システムがその変更を反映し、ソースデータベースとターゲットの整合性を維持します。

異種環境でのレプリケーション戦略の選び方

マルチソース、マルチターゲットのシナリオ

マルチソース、マルチターゲットのシナリオでは、まずどのソースがどのターゲットに同期すべきかをマッピングして、データフローを明確にします。次に、高速な一括ロードとリアルタイム更新のためのCDC の両方に対応するコネクタを選択し、スムーズな運用を実現します。

データ量とレイテンシ要件の評価

適切なレプリケーション方式は、「どのくらいのデータを連携させる必要があるか」と「どのくらいの速さで同期する必要があるか」によって判断します。データ量が多く、秒から数分単位のレイテンシで同期が求められる場合は、ログベースCDC を利用するのが最適です。ログを参照して変更のみを転送するため、ソースデータベースへの負荷を最小限に抑えながら、高頻度の更新に対応できます。一方、データ量は中規模以下、かつ数時間~日次レベルの同期で十分な場合は、スナップショット方式でも対応可能です。

競合の検出と解決方法

  1. 主な競合タイプ

  • 更新同士の競合(Update–update):2つのシステムが同じ行を同時に更新

  • 削除と更新の競合(Delete–update):一方が行を削除し、もう一方が同じ行を更新

  1. 解決ポリシー

  • 最後の書き込み優先: 最新の変更が保持される

  • カスタムスクリプト: ビジネスルールに基づいて適用する変更を決定

スキーマの自動追従とカラムマッピング

  • スキーマ変更を自動検出し、フィールドを自動マッピングするツールを使用することで、ダウンタイムを防ぐことができます。CData Sync はスキーマ検出機能とカラムマッピングを自動的に行います。


スケーラブルなレプリケーションツールの評価と選択

主要な評価基準(コネクタ、CDC、パフォーマンス)

レプリケーションソリューションを評価する際は、スケーラビリティ、セキュリティ、効率性を確保する以下の必須機能を確認してください。

  • 幅広いデータベース、SaaS アプリ、クラウドプラットフォームに対応する豊富なネクタ

  • ログベースCDC

  • 並列ページング

  • きめ細かいロールベースアクセス制御(RBAC)

  • 監査ログ


価格モデル:接続ベースと行ベース

接続ベースの価格設定は、コネクタまたはソース / ターゲット接続ごとに課金されるため、データ量が増加してもコストが予測しやすくなります。行ベースの価格設定は、データ変更率が高い場合にコストが膨らむ傾向があります。

セキュリティ、コンプライアンス、ガバナンス機能

TLS 1.2以上による転送中の暗号化、AES-256 による保存時の暗号化、SOC 2 / ISO 27001認証、ロールベースアクセス制御、GDPR データ主体の権利への対応などを備えているか確認してください。

主要ベンダーの比較(CData、Qlik、Fivetran)

ベンダー

提供コネクタ

価格モデル

CData Sync

リレーショナルデータベース、SaaS アプリ、データレイクなど400以上のデータソース

従量課金型ではなく、接続ベースの価格設定

Qlik

多数のコネクタを提供。ただし、CDC が制限されている場合や、価格がボリュームに連動している場合がある(プランによる)

サブスクリプションと使用量ベースを組み合わせた価格設定。多くの場合、処理した行数やデータ量に応じて課金

Fivetran

数百のコネクタ、強力なログベースCDC、ガバナンスやセキュリティ機能を提供

主に使用量ベースの価格設定。処理したデータ量や行数に応じて課金


CData Sync の接続ベース価格モデル

接続ベースの価格設定では、行単位やトランザクション単位ではなく、ソース / ターゲット数に応じてライセンスプランが変更されます。これにより予測可能な運用コストを実現し、大規模パイプラインでは、内部ベンチマークに基づく行ベースの価格設定と比較して最大80%のコスト削減を実現できます。

セキュアでコンプライアンスに準拠した高パフォーマンスパイプラインの設計

転送中および保存時の暗号化

転送中のすべてのデータには TLS 1.2 以上、保存時のデータには AES-256 または同等の暗号化を使用します。鍵管理ポリシーが業界標準に準拠していることを確認してください。

ロールベースアクセス制御と監査

CData Sync は、ネイティブSSO 統合と詳細な監査ログにより、エンタープライズグレードのアクセス制御とガバナンスをサポートします。以下の手順を実行します。

  1. Azure AD またはOkta でSSO を構成

    SAML 2.0 またはOIDC を使用してCData Sync をID プロバイダーに登録し、ユーザーグループをロールにマッピングして、セキュアなアクセス制御のためにMFA を適用します。

  2. 最小権限ロールを割り当て

    組み込みのRBAC を使用して最小権限アクセスを割り当て、自動化のためにIdP グループクレームをマッピングし、定期的に権限の見直しと更新を行います。

  3. 不変の監査証跡を有効化

    監査ログを有効化してログイン、ジョブアクティビティ、構成変更を追跡し、ログを安全で不変の場所に保存して、コンプライアンスのために定期的に監視します。

スループットの最適化(並列ページング、一括操作)

並列ページング(デフォルト4スレッド)を有効化し、一括挿入API をを活用することで、大量データを効率的に転送し、スループットを最大化できます。

データの整合性とドリフトの監視

ソースとターゲット間でチェックサムまたはハッシュベースの検証を実装し、レプリケーションラグまたはドリフトがSLA のしきい値を超えた場合にアラートを設定します。

複数データベースでのリアルタイムCDC の実装

SQL Server、MySQL、PostgreSQL、Oracle での CDC セットアップ

データベース

CDC メカニズム

主なセットアップ手順

SQL Server

組み込みCDC または変更の追跡

CDC フラグを有効化、レプリケーションロールを設定、ログ保持期間を十分に長く確保

MySQL

バイナリログ

バイナリログを有効化、正しいバイナリログ形式と権限を確保、必要に応じて論理レプリケーションスロットを構成

PostgreSQL

論理レプリケーション

パブリケーションを作成、レプリケーションスロットを設定、WAL 設定を確保(例:wal_level = logical)

Oracle

Redo ログ / フラッシュバック / ログベース機能

必要なロギング / 補足ロギングを有効化、必要な権限を付与


CData Sync コネクタで異種データソースに対応

CData Sync は、組み込みのCDC サポートにより、データベース間のリアルタイムレプリケーションを高速、簡単、効率的に実現します。

  • シンプルなセットアップでCDC ジョブの作成が可能。CData Sync は、SQL Server、MySQL、PostgreSQL、Oracle、Db2 for i などのデータベースでCDC をサポートしています。

  • 自動スキーママッピングにて、数分でデータ同期ジョブを開始できます。

  • 400 以上のデータソースで動作し、Saas、データベース、データウェアハウス、ファイル など、あらゆるシステム間でデータを移動できます。

  • 初期設定のままでもスムーズに動作しますが、パフォーマンスチューニングも可能です。

CData Sync を使用すれば、ノーコードインターフェースのシンプルさで、幅広いシステム間でセキュアなニアリアルタイムレプリケーションを実現できます。

双方向レプリケーションパターン

アクティブ / アクティブ構成では、両方のシステムに変更を加えることができるため、競合の処理が重要です。一般的なアプローチは、最新の更新を優先する("last-writer-wins")か、タイムスタンプやどのシステムが変更を行ったかなどに基づいて、保持する変更を決定するカスタムルールを使用することです。

大量の変更ストリームの処理

バッチサイズを調整してバッチあたり5,000~10,000行を処理し、スロットリングまたはバックプレッシャーを使用してソースデータベースの過負荷を防ぎます。必要に応じて、変更データを一時的に保持するステージング領域を設定します。

レプリケーションワークロードのスケーリング、最適化、監視

水平スケーリングと分散アーキテクチャ

CData Sync インスタンスを追加すると、ワークロードが分散されてパフォーマンスが向上し、高可用性のためのマルチリージョンフェイルオーバーも可能になります。

パフォーマンスのチューニング(バッチサイズ、並列処理)

調整パラメータと推奨開始値:

  • バッチサイズ ≈ 5,000 行

  • 並列ワーカー / スレッド ≈ 4

  • コミット間隔 ≈ 1秒

アラート、メトリクス、ヘルスダッシュボード

  • レプリケーションラグ(秒単位)、スループット(行数 / 秒)、エラー率(失敗した操作の割合)などの主要メトリクスを監視します。

  • これらの指標により、レプリケーションがSLA 内に維持されることを確認でき、パフォーマンスの問題を迅速に特定できます。

  • CData Sync をPrometheus やAzure Monitor などのツールと統合して、トレンドを可視化しアラートを設定します。

自動リカバリとフェイルオーバー戦略

  • 中断されたジョブを簡単に再開できるよう、自動再接続を有効化します。

  • 一時的な障害を処理するため、バックオフ間隔を持つリトライポリシーを設定します。

  • 別のリージョンまたはゾーンにスタンバイ同期インスタンスをデプロイします。

  • プライマリインスタンスの可用性を監視するヘルスチェックを構成します。

  • 障害が検出された際に、スタンバイへの自動フェイルオーバーをトリガーします。

高度なユースケース

グローバルアプリケーション向けの双方向同期

グローバル環境では、双方向レプリケーションによりリージョン間でリアルタイムにデータを同期し、米国とヨーロッパにユーザーを持つアプリケーションなどで一貫性と低レイテンシを確保します。

ゼロダウンタイムのクラウド移行

CData Sync は、ソースを中断することなくオンプレミスシステムからSnowflake へライブデータをレプリケートすることで、リフト&シフトアプローチを実現します。初期一括ロードを実行した後、リアルタイムCDC を使用してデータを同期し続けます。これにより、ソースが完全に稼働したままで、チームがワークロードを検証して移行できます。

サーバーレスおよびクラウドネイティブレプリケーションアーキテクチャ

AWS Lambda やAzure Functions を使用して変更イベント発生時にCData Sync のジョブAPI をトリガーし、イベント駆動型レプリケーションを効率的に実現します。

よくある質問 

・SQL Server とMySQL やSnowflake などの異なるデータベース間でデータをレプリケートするにはどうすればよいですか?

CData Sync のCDC コネクタを使用してください。ソースとターゲットの接続を設定するだけで、双方向または単方向のレプリケーションを迅速にセットアップできます。

・異なるシステム間で真のリアルタイム同期を実現できるレプリケーション手法はどれですか?

ログベースCDC により、トランザクションログを読み取ることでソースのテーブルにアクセスさせずに、1 分単位のニアリアルタイムレプリケーションを実現できます。

・CData Sync の接続ベース価格設定は総所有コストにどのように影響しますか?

コネクション数での価格設定により、データ量が増加してもコストは予測可能なままです。行ベースモデルと比較して、大規模パイプラインでは最大80%のコスト削減を実現します。

・SOC 2とGDPR 要件を満たすために実装すべきセキュリティ制御は何ですか?

転送中のデータにはTLS 1.2以上、保存時のデータにはAES-256の暗号化を有効化し、Azure AD やOkta 経由のSSO でロールベースアクセス制御を適用し、すべてのレプリケーションアクティビティを不変の監査ログに記録してください。

・レプリケーションラグがSLA を超えた場合、どのような手順を実行すべきですか?

直ちにソースログのレイテンシを確認し、並列ワーカーを増やし、アラート駆動型スケーリングを有効化してください。ラグが持続する場合は、ネットワーク帯域幅を確認し、専用のCData Sync インスタンスの導入を検討してください。

CData Sync でスマートなレプリケーションをはじめましょう

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※本記事はCData US ブログ Smart, Scalable, & Secure Path to Better DB Replication の翻訳です。