
AI エージェントが複雑なビジネスワークフローを処理できるようになるにつれて、外部データソースに簡単にアクセスできる機能の重要性が高まっています。私たちのチームは最近、Zapier の新しいMCP(Model Context Protocol)機能と、CData のAI データ統合向けMCP Server を詳細に比較しました。Zapier Salesforce MCP Server とCData MCP Server for Salesforce を検証した結果、インテリジェントなデータコネクティビティの未来に関する興味深い洞察が得られました。
対照的な2つのアプローチ
Zapier のビジョン: 厳選されたシンプルさ
Zapier は焦点を絞ったアプローチでMCP 分野に参入し、「リードを作成」「リードを取引先責任者に変換」「クエリでレコードを検索」などの特定のアクションに直接対応する約22の事前設定済みツールを提供しています。同社の哲学は、最小限のセットアップですぐに使用できる、アクション専用のツールを提供することに重点を置いています。これは、システム間でのタスク実行を調整するZapier の中核的なiPaaS 機能を活用しています。
CData の哲学:インテリジェントな柔軟性
CData は根本的に異なるアプローチを採用しています。アクション指向の規範的なツールではなく、AI によるデータ処理に理想的な、システムへのインテリジェントなデータベースライクなアクセスを提供しています。CData MCP Servers は完全なデータモデル(テーブル、リレーションシップ、ストアドプロシージャ)を公開することで、LLM の推論機能があらゆるタスクを達成するための最適なパスを決定できるようにします。CData がこれを実現できる理由は、350を超えるすべてのデータソースの上に標準化されたSQL レイヤーを構築するコネクタを持っているからです。さらに、これらのコネクタはソースシステムのAPI のすべてのバージョンで利用可能なすべてのエンドポイントにアクセスできるため、制限は何もありません。
実地テスト:真価が問われる時
共通の成果:両ソリューションとも基本操作を処理
Salesforce をデータソースとして使用したテストでは、どちらのアプローチも基本的な操作を正常に処理しました。
両ソリューションとも、PDF の請求書を読み取って関連情報を抽出し、CRM レコードに入力する機能を実証しました。これにより、AI 駆動型データ入力の強力さが明らかになりました。
明らかになった違い
トークン効率
リソースの消費に関して、1つの重要な違いが見えてきました。Zapier の専用ツールは1回のAPI 呼び出しでアクションを完了しますが、CData の探索的アプローチでは、まずデータモデルを理解してから操作を実行するため、複数のクエリが必要となります。これは、企業におけるトークン使用量とコスト最適化という重要な課題を提起します。
複雑なシナリオの処理
真の差別化は、エッジケースをテストしたときに現れました。Zapier の事前定義ツールは、ファイル添付を求められた際に実際にファイルを添付するのではなく、リード情報を更新するなど、Claude を意図しない処理に導くことがありました。CData のアプローチは、より多くの初期探索が必要でしたが、より体系的で予測可能な結果を提供しました。
ストアドプロシージャの優位性
特に興味深い瞬間は、リードの変換をテストした際に訪れました。最初に、Claude はCData の手動アプローチ(取引先の作成、取引先責任者の作成、リード状況の更新を個別に実行)を選択しました。しかし、Claude はCData のストアドプロシージャを見つけて利用することができました。そして、Salesforce のネイティブconvertLead プロシージャをシームレスに活用することで、CData の包括的アクセスが、Zapier の厳選されたアプローチでは見逃される可能性のあるプラットフォーム固有の最適化をいかに実現できるかを実証しました。
哲学の違いを探る
冒頭で述べたように、MCP Server の構築における違いを生み出しているのは、それぞれの基盤となるテクノロジーのコア機能です。Zapier のツールは効率的かつ具体的で、特定のアクションの実行用に設計されています。一方、CData のツールは柔軟で幅広く適用可能であり、データ処理とクエリに理想的です。
カスタムフィールドの処理に関して興味深い技術的詳細が明らかになりました。CData のコネクタはカスタムフィールドを適切なフィールド名付きの通常のテーブル列として自動的に公開しますが、Zapier のAPI ベースのアプローチでは、解読に追加情報が必要な暗号のようなフィールドID が返されます。
これは小さな違いのように見えるかもしれませんが、実はより根本的な哲学の違いを表しています。CData のデータベース抽象化レイヤーは、LLM やAI エージェントにとってなじみのあるSQL ライクな体験を提供します。対して、API ベースのアプローチでは、AI の推論を複雑にする内部的な技術詳細をそのまま公開してしまうことが多いのです。
CData のデータ処理優位性をさらに強化
データ処理の優位性をさらに発展させるため、CData はLLM の能力をより引き出せるインテリジェントなフィルタリングと優先順位付け機能を探求しています。
スマートなテーブルの優先順位付け:リレーションシップ分析と使用パターンから、最も関連性の高いテーブルを最初に表示
コンテキストを理解したデータ検出:「営業関連のテーブルを表示してください」のような自然言語クエリにより、データモデルをインテリジェントにフィルタリング
段階的な開示:コアエンティティから開始し、ユーザーのニーズに基づいて拡張
ハイブリッドアプローチの活用
これを二者択一として捉える必要はありません。最も強力なエンタープライズAI 実装では、ハイブリッドアプローチを活用する可能性が高いでしょう。手軽な多機能ツールと本格的な専門工房の両方を持っているようなもので、どんな作業をするかに応じてそれぞれに適した場所があります。
Zapier スタイルのMCP が適しているケース:
高頻度で標準化された操作
厳格なガードレールが必要なワークフロー
トークンの効率が最優先されるシナリオ
CData スタイルのMCP が適しているケース:
データの絞り込み、並び替え、結合、集約
データの探索と分析
複雑で多段階の操作
緊密なシステム統合が必要なシナリオ
実際の企業活用例
ここでは、先進的な企業が両アプローチをどのように組み合わせるかをご紹介します。
セールスオペレーションチーム:Zapier の合理化されたツールを使用して定型的なリード処理とフォローアップシーケンスを行う一方、CData の包括的なアクセスを活用して取引間の類似性やパターンを発見し、期限切れタスクを特定し、リスクのある案件を洗い出します。
カスタマーサポート: 標準的なケース作成とエスカレーションワークフローにはZapier コネクタを導入し、複雑な顧客問題の調査でエージェントがCRM、請求、製品の利用状況、サポート履歴などの複数システムのデータを結合する必要がある場合は、CData を活用します。
財務部門: Zapier の事前定義された会計ワークフローで毎月の請求処理を自動化し、CData の柔軟なクエリ機能をアドホックな財務分析、コンプライアンスレポート、カスタムERP モジュールとの統合に活用します。
エグゼクティブダッシュボードの作成: 標準的なKPI ダッシュボードの定期更新はZapier で処理し、役員が取締役会で求める「過去18か月間の製品ライン別・地域別の顧客維持トレンド分析」といった詳細分析はCData で対応します。
重要なのは、エンタープライズ環境のAI エージェントには、既知のワークフローのための精密なツールと、ビジネスインサイトを生み出す予期しない質問に対応する探索機能の両方が必要だと認識することです。このバランスを習得した企業は、日常業務においては信頼性が高く、戦略分析においては強力であるAI システムを利用できるようになるでしょう。
AI のためのデータ基盤を築く
この比較により、私たちがまだAI 駆動型ビジネス自動化の黎明期にあることが明らかになりました。シンプルさと柔軟性、あるいは安全性と機能性の間の根本的なトレードオフ関係が、この分野でのイノベーションを今後も推進していくでしょう。
明らかなのは、データ接続の品質、つまりAI エージェントが業務システムをどれだけ理解し、アクセスし、操作できるかが、AI を活用する企業における重要な差別化要因になるということです。現在、堅牢でインテリジェントなデータ統合インフラに投資している企業は、今後発展するAI 機能を活用する上で最も有利なポジションに立つことになるでしょう。
未来は、人間の判断とAI の実行をシームレスに融合できる企業のものであり、そしてその未来は、データ接続という基盤を正しく整えることから始まります。
※本記事はCData US ブログHow CData MCP Servers Stack Up Against Zapier MCP の翻訳です。