
はじめに:Db2 for i のデータ、AIエージェントで使えていますか?
こんにちは、シニアプロダクトスペシャリストの宮本です。
最近、Claude をはじめとするAIエージェントの活用が急速に広がっています。自然言語でデータを検索・分析できるこれらのツールは、データ活用の敷居を大きく下げる存在として注目されています。
IBM i(AS/400)上のDb2 for i を利用している企業の方からも、最近は「基幹データをAIで活用できないか」というご相談をいただく機会が増えてきました。一方で、「うちには関係ない話では?」という方もまだ多いですし、関心はあっても「どう実現すればいいのか分からない」という声も聞きます。
本記事では、Db2 for i のデータをClaude のようなAIエージェントから安全に活用するためのデータ基盤構成をご紹介します。
AI活用が遠く感じる理由
Db2 for i ユーザーにとって、AI 活用が遠く感じられるのにはいくつかの背景があります。
本番環境への直接アクセスは現実的ではない
AIエージェントが本番DB に直接接続する構成は、セキュリティ面・負荷面の両方でリスクがあります。基幹システムとして稼働しているDb2 for i に対して、予測しにくいクエリを投げる構成は採用しづらいのが実情です。
オンプレミスのデータをAIエージェントでどう扱うか
AIエージェントから社内のデータを活用するには、オンプレミスにあるデータへの接続経路を用意する必要があります。セキュリティを確保しながら、どうやってデータを届けるかが課題になります。
どこから手をつければいいか分からない
「AIでデータ活用」と言っても、具体的にどんな構成にすればいいのか、何を用意すればいいのか、分かりにくいという声をよく聞きます。
解決策:クラウドDWH を中継点にしたデータ基盤構成
「Db2 for i に直接接続すればいいのでは?」と思われるかもしれません。確かに、単一のツールから限定的にアクセスするだけなら、それでも成り立つケースはあります。
ただ、AIエージェントの活用が広がると、複数のユーザーやツールからアクセスが発生する可能性があります。基幹システムとして稼働しているDb2 for i に、予測しにくいクエリが複数飛んでくる状況は避けたいところです。
そこで、クラウドDWH(データウェアハウス)を中継点にする構成が有効です。考え方はシンプルで、Db2 for i のデータをクラウドDWH に同期し、AIエージェントはそのDWH に対してアクセスするという形です。
この構成を採用することで、以下のような課題を解消できます。
本番DBは「基幹業務のため」、DWHは「分析・AI 活用のため」と役割を分けることで、長期的に運用しやすい構成になります。
今回紹介する構成の全体像
本記事では、セキュリティ要件に応じた2つの構成パターンをご紹介します。
パターン1:PrivateLink を使ったセキュアな構成
PrivateLink を利用することで、Snowflake への通信がインターネットを経由しません。セキュリティポリシーの厳しい環境に適しています。

この構成では、CData MCP Server for Snowflake をAWS VPC 内にインストールし、PrivateLink 経由でSnowflake に接続します。ユーザーはVPC 内のインスタンスにリモートデスクトップ等でアクセスし、同一インスタンス上のClaude Desktop からMCP Server 経由でSnowflake のデータを扱います。
パターン2:Connect AI を使ったシンプルな構成
PrivateLink が必須要件でない場合は、CData Connect AI を利用することで、MCP Server のインストールなしにより簡単に構成できます。

CData Connect AI はSaaS として提供されているため、サーバーの構築・運用が不要です。Snowflake への接続設定をConnect AI 上で行うだけで、Claude からSnowflake のデータにアクセスできるようになります。
ただし、現時点ではPrivateLink への接続には対応していません。セキュリティ要件に応じて、パターン1とパターン2を使い分けてください。
以降では、両パターンに共通する部分と、パターン別のポイントを説明します。
各コンポーネントの役割(共通部分)
CData Sync + Db2 for i ログベースCDC
Db2 for i のジャーナルを利用したログベースCDC により、本番DB への負荷を抑えながら差分データをSnowflake に同期します。CData Sync はV25.3 以降でDb2 for i のログベースCDC に対応しています。全件洗い替えではなく変更分だけを連携するため、大量データでも効率的に同期できます。
Snowflake
クラウドDWH としてデータを蓄積します。AIエージェントからのクエリを受け付ける役割を担うため、本番DB とは切り離された環境でデータを扱えます。
パターン別のポイント
パターン1:MCP Server + PrivateLink
Snowflake PrivateLink
Snowflakeへの通信をインターネット経由ではなく、AWS の内部ネットワーク経由で行うための仕組みです。VPC エンドポイントを経由して接続するため、Snowflake との通信がパブリックなインターネットを通りません。
CData MCP Server for Snowflake
Claude Desktop などのAIエージェントとSnowflake をつなぐ役割を果たします。MCP(Model Context Protocol)に対応しており、AIエージェントがSnowflake 上のデータにアクセスできるようになります。このMCP Server はVPC 内のサーバーにインストールする必要があります。

以下は接続テスト後のキャプチャ

Claude Desktop
エンドユーザーが自然言語でデータを検索・分析するためのAIエージェントです。MCP Server と同一のサーバー内にインストールすることで、PrivateLink で保護された経路でSnowflake のデータを扱えます。
パターン2:Connect AI
CData Connect AI
CData Connect AI は、リモートMCP Server機能を備えたSaaS型のデータコネクティビティサービスです。Snowflakeをはじめとする各種データソースへの接続をクラウド上で管理でき、MCP Serverを自前でインストールする必要がありません。

サーバーの構築・運用が不要なため、導入・運用のハードルが低いのが特徴です。
Claude
ClaudeからConnect AIに接続するだけで、SnowflakeだけでなくConnect AIで設定した他のデータソースにもアクセスできます。
この構成で得られること
本番DBを守りながらデータ活用ができる(共通)
ログベースCDC を使うことで、全件洗い替えと比較してDb2 for i 本番環境への負荷を抑えられます。ジャーナル読み取りによる一定の負荷は発生しますが、テーブルスキャンを行わないため、本番ワークロードへの影響を軽減できます。AI エージェントが投げるクエリはSnowflake が受けるため、基幹システムの安定稼働を維持できます。
セキュアな経路でAIエージェントにデータを届けられる(パターン1)
Snowflake PrivateLink を使えば、MCP Server からSnowflake への通信がインターネットを経由しません。データがパブリックな経路を通らないため、セキュリティポリシーの厳しい組織でも導入を検討しやすくなります。
サーバー運用なしで手軽に始められる(パターン2)
Connect AI はSaaS として提供されているため、MCP Server の構築・運用が不要です。Snowflake への接続設定を行うだけで、すぐにAIエージェントからのデータ活用を始められます。
エンドユーザーがSQL を書かずにデータ分析できる(共通)
Claude とMCP Server / Connect AI の組み合わせにより、自然言語でデータを検索・分析できます。SQLの知識がなくても、現場の担当者が自らデータを確認し、意思決定に活かせる環境が整います。
導入にあたっての前提条件
この構成を採用する場合、いくつかの前提条件があります。
共通の前提条件
Db2 for i 側
Db2 for i のログベースCDC設定については、以下の記事・ドキュメントを参照してください。
CData Sync
Snowflake 側
パターン1(MCP Server + PrivateLink)の前提条件
Snowflake
PrivateLink の設定方法については、以下の記事を参照してください。
MCP Server / ネットワーク構成
パターン2(Connect AI)の前提条件
CData Connect AI
パターン2 は個別にMCP Server を用意する必要がないため、導入のハードルは低くなります。ただし、現時点ではPrivateLink への接続には対応していない点にご注意ください。
まとめ
Db2 for i のデータをAIエージェントで活用する構成をご紹介しました。
ポイントは、本番DB とAIエージェントの間にクラウドDWH を挟むことです。ログベースCDC で本番環境への影響を抑えながらデータを同期し、Snowflake を中継点としてAIエージェントからのアクセスを受け付けます。
セキュリティ要件に応じて、2つのパターンから選択できます。
- パターン1(MCP Server + PrivateLink):セキュリティポリシーの厳しい環境向け
- パターン2(Connect AI):手軽に始めたい場合向け
「うちのデータはオンプレミスだからAIは関係ない」と思われていた方も、こうしたデータ基盤構成を整えることで、AI活用の選択肢が広がります。
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